FACE OF ANOTHER:他人の顔 (1966)(日本)
勅使河原と安部公房のタッグによる作品三本目。一度「Your 20 Films」に入れてはみたものの、最終的には番外にした。
安部公房の原案、本人による脚本を勅使河原はよく理解しており、映像化にみごと成功している。コントラクトの強い白黒の映像が物語が含んでいる「寓話性」をより強調しており、観客を独自の世界に導いてくれる。
あらすじは事故で顔を大火傷した主人公が整形外科の先生の助けを得て、他人の顔をした仮面をつくってもらう。主人公はその仮面をかぶり、他人になりすます社会にでるが、徐々に仮面に翻弄されていく。
前作の「砂の女」同様、SF的要素を上手く現実レベルにおさえているところが勅使河原の演出の冴える箇所である。90年代にアメリカ人監督が「他人の顔」に触発されて、映画「SUTURE」を作ったが結果は無残で、平凡なアクションドラマに仕上がっている。映画からは寓話性が全く感じられない。監督の感性の違いなのだろうが。
Posted: March 7th, 2010 under 秀作映画の集い.
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