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その名もボーン

おそばせながらアメリカ映画「ボーン」三部作を観終えた。英語タイトルも決してかっこよくはないが、カタカナ表記にするとかっこ悪いタイトルだ。しかもこの後につく「スプレマシー」や「アルティメイタム」等タイトルからは全く何の映画がわからない。予備知識のない人にとってはまさかこの映画がスパイ映画だとは想像もできないだろう。

で、話題になっていたのが三部作目だったので「ボーン・アルティメイタム」から観ることにした。で次に「スプレマシー」で最後に「アイデンティティー」。

結果、映画の評価順にもなってしまった。最初の「アイデンティティー」は一番安直な映画。いたって普通の出来だった。つまり、記憶喪失というディバイスを使って映画の話を前へ進めるパターン。正直、今日の記憶喪失物に免疫がつてしまったせいか、全く驚きなし。正直、主人公「ボーン」の記憶が戻ろうがどうでもよい。単純にプロットの複線のためのお膳立てにすぎない。

それを見切ってか、2作目から抜擢されたポール・グリーングラスはただひたすら、編集のテンポを早く、若干ドキュメンタリー要素をスパイス的に、アクションをひたすら描く。この監督の採った案は成功したようで第三作の「アルティメイタム」では編集がより早くなり、観てて気持ちがよくなるリズムをかもし出している。この効果は「アルマゲドン」や「ロック」のマイケル・ベイのただ単にスピードが速いだけの編集とはちがう。

さらにこの「ボーン」シリーズでこの監督の秀でた才能は、ヨーロッパを観光旅行的背景とはせずに、といって決してマイナーな場所でない、ヨーロッパ人ならではのヨーロッパの地形の描き方をしている。やっぱり監督はイギリス人。もしこれがアメリカ人の手にかかったら、第二撮影班にエッフェル塔えを撮らせて、で俳優のシーンではスタジオ内の似非パリもしくはトロントやロスとかで撮影をして誤魔化すであろう。久しぶりのヨーロッパの街並みが魅力的に感じた映画である。

いろいろとゴタクを並べたが一番感動したのは三部作全てのエンドクレジット。な、なんとボーンの歌があるではないか!しかも歌っているのはMOBY。曲は結構恥ずかしくなる感じの歌。なんとなく80年代のロック調。これを聴いて「わー、ボーンかっこええ、しびれる~」とは到底思えない。むしろ恥ずかしくなるタイプの曲だ。でも同じ歌を三作品通して使おうと決定したプロデューサーには脱帽。おそらくプロデューサーの意図は21世紀版「007」を意識したのでは。記憶に残るという意味では成功しているが、恥ずかしいのは否めない。この曲欲しさにiTunesとかでダウンロード購入は少なそうだ。そういえば「ボーン」のテーマは記憶だったのを思い出した。